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[コラム] 体調不良の原因となる重金属の蓄積を調べる方法

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慢性的な体調不良の原因のひとつに、重金属の蓄積があります。しかしこの考えはまだ一般的とはいえず、「原因がわからない」症状に苦しむ患者さんは後を絶ちません。

たとえば、最近の研究で、疲労感や倦怠感が長期間続く「慢性疲労症候群」の原因には、ウイルスの慢性持続感染や脳脊髄の炎症(脳脊髄炎)などが関係するとされています。

では、どうして通常は一時的で終わるはずのウイルス感染が、なぜ長期にわたって続くのでしょうか?
なぜ、脳脊髄の炎症が持続するのでしょうか?

「その人の体質が違うから」というのは答えにはなっていません。

これらの慢性炎症の原因の一つに、重金属の体内蓄積が関係しているということがわかって来ています。
重金属が体内に蓄積することで、様々な体調不良や病気の原因になる「炎症」を起こすということです。
そして、体に「炎症」が起こっている状態でなんらかのウイルスに感染することで、ウイルスが持続感染を起こしたり、脳に炎症が起こったりするということです。とすれば、根本的治療を行うためには、「炎症」の原因となる重金属の蓄積を解決しないといけないということになります。

身体に炎症を起こす重金属の影響

現代病といわれるアトピー性皮膚炎や気管支喘息も、皮膚や気管に炎症が起こる病気ですが、炎症の原因に重金属の蓄積が関係しています。
当院でも、重症のアトピーや反復性、再発性の喘息発作を持つ患者さんが、重金属を排出する治療により症状コントロールできたケースを、たくさん経験してきました。

重金属は、私たちの体内に溜まることで「炎症」を引き起こします。
近年では、「炎症症候群」という病気の考え方も提唱されており、今までの常識を超えて、人体に影響を及ぼしていることが分かっています。

アレルギー疾患だけではありません。ガンや動脈硬化などの病気も、「炎症」が原因で起こります。さらに、最近ではアルツハイマー型認知症の原因の一つとして、重金属が関係しているということもわかって来ています。
ガンや動脈硬化症、アルツハイマー型認知症と重金属との関係性は、これから解明が進むでしょう。

重金属の蓄積を調べる検査

では、自分の体に重金属が溜まっているのかどうか。溜まっているとすればどれほど溜まっているのか。は、どうして調べることができるのでしょうか。

重金属が蓄積しているかどうかは、血液検査や画像診断などの通常の検査では診断できません。そのため一般的な診察では、病気と重金属の関係性が見つからないケースがほとんどです。
しかし重金属が体にどれほど溜まっているのか、あるいはどれほど排出することができるのかを調べる検査はあります。



「オリゴスキャン検査」は、手のひらに吸光光度計を当て、光の反射を見ることで、細胞内や組織間液にどれくらいの重金属が蓄積しているかを見ることができます。



長所としては、簡便にすぐにその場で測ることができるという点です。短所としては、手のひらで検査をするので、体全身に溜まっている重金属を評価することはできないという点です。これは私の経験ですが、オリゴスキャンで水銀が低値ででる場合でも、別の検査でみると大量に水銀が蓄積している場合が少なからずあります。
とは言え、体全体にどの程度の重金属が蓄積しているのかをスクリーニングする意味では有用な検査です。

「毛髪重金属ミネラル検査」は、毛髪中にどれほどの重金属やミネラルが排出されるかを見る検査です。



毛髪中に有害重金属が排出されている場合、体内にその重金属が蓄積している可能性があります。
オリゴスキャンと異なり、全身への重金属の蓄積を反映していると言えます。ただ、短所としては、重金属を体外に排出する機能が低下している場合、体内の蓄積度を正確に判定できないことがあります。(重金属の排泄障害)逆に、身体が重金属をきっちりと排泄できる状態かどうかを知る手掛かりになります。

「オリゴスキャン検査」、「毛髪重金属ミネラル検査」は体内にどれだけの重金属が蓄積しているのかを見る検査であるのに対して、「尿中重金属排泄試験」は、それ以外に「キレート剤」を内服し、どれだけの重金属を尿中に排出できるかを調べることができます。

キレート剤は体の中に溜まっている重金属に結合して、尿や便の中に排出されます。キレート剤を内服後、どれだけの重金属が尿中に排出されるかを見ることによって、体全体に溜まっている重金属の量を類推することができるのと同時に、治療に対しての反応性を確かめることができます。

さらに、治療後に重金属の蓄積がなくなったかどうかの、治療のエンドポイントを知ることができます。



以上、重金属を調べる3種類の検査について紹介しました。
それぞれの検査には長所と短所があります。それぞれの特徴を理解した上で、全体の重金属の動態を知ることはとても重要です。
重金属が蓄積していることがわかったら、キレーション治療という方法で、重金属を排除することが可能です。
その治療によって、これまでは「原因不明」とされて来た症状や病気が改善する可能性があるということです。

当院では、重金属などを含め、体のバランスを崩している要因を調べ根本的に体を整えていく治療を行なっています。

まとめ

 通常の検査で原因の分からない様々な症状について、体内に蓄積した重金属が関連する場合があることをお伝えしました。

 体内に蓄積している重金属を調べる検査には3種類あります。それぞれ一長一短があるので、それぞれの検査の特徴を理解した上で行うことが大切です。

 重金属の蓄積が原因で起こる症状や体調不良は、キレーション治療という方法で重金属を体外に排除することで改善することが可能です。キレーションについては熟練した医師に相談することが大切です。



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