先日、PATMの患者さんの診察を行っている時のことです。
皮膚ガステストで、数種類の有機化学物質が排出されているので、これまでの経験からPATMの可能性がありますね、という話をしていました。
治療をどうするかと言う段になって、「実は、他の病院でキレーション治療を受けているんです」という話になりました。
しばらくは、患者さんのおっしゃっている内容がよく理解できませんでした。当院では、重金属の蓄積に対してキレーション治療を行う場合、いきなりキレーション治療だけを行うことはなく、その前に腸内環境を整え、腸管に悪玉菌やカビがいる場合は除菌治療を行います。
それは、いきなりキレーションを行うと合併症を起こすリスクがあるためです。
よくよく話を聞いてみると、患者さんのかかっておられるクリニックでは、そのような事前治療は行わず、いきなりキレーション治療を行っていると言うことです。
このような場合、どう対応していいのかが分からず、その様な状況で当院で治療を継続することは難しいと言う話をさせていただきました。
診察が終わってから、もし私が考えていることが間違っていて、キレーション治療だけを行ってもいい場合もあるのかな?と思い、念の為、最近流行りのChatGPTに尋ねてみました。
質問内容は以下のとおりです
「腸内環境や腸管カンジダをコントロールすることなく、キレーションを行うことのリスクはありますか?」
それに対してのChat GPTの回答は
キレーション療法を行う際に腸内環境や腸管カンジダのコントロールを怠ることは、いくつかのリスクを伴う可能性があります。以下に主要なリスクを挙げます。
1. 腸内フローラの乱れ: キレーションによって有害金属とともに必須ミネラルや有益な腸内細菌も排出されることがあります。これにより、腸内フローラが乱れ、消化機能や免疫機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
2. カンジダの増殖: 腸管カンジダのコントロールが不十分な状態でキレーションを行うと、腸内の有害物質や重金属が除去されることでカンジダが繁殖しやすくなることがあります。カンジダの過剰増殖は腸管透過性を高め、リーキーガット症候群を引き起こす可能性があります。
3. 栄養不足: キレーションにより必須ミネラルが不足すると、体内の栄養バランスが崩れ、免疫力の低下やその他の健康問題が発生するリスクがあります。特に、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルが不足すると、腸の健康や全身の代謝に悪影響を及ぼすことがあります。
4. 毒素の再吸収: キレーションによって動員された有害物質が、腸内環境が整っていない場合に再吸収されるリスクがあります。これは、キレート剤が効果的に排泄されない場合に特に問題となります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、キレーションを行う前に腸内環境を整え、腸管カンジダのコントロールを行うことが重要です。プロバイオティクスやプレバイオティクスの摂取、適切な食事療法、抗カンジダ治療などを通じて、腸内のバランスを保つことが推奨されます。また、医師と相談し、個々の健康状態に応じたキレーション計画を立てることが重要です。
Chat GPTの回答はここまで
現状では、事前の治療を行わずに、いきなりキレーション治療だけを行っている施設もたくさんあるのかもしれません。
もちろん、絶対に副作用が起こるわけではないでしょうが、もし読者の中でその様な治療を行っておられる場合は、上記の副作用が起こっていないかどうかをチェックされる方がいいかもしれません。
執筆者プロフィール
医療法人全人会理事長、総合内科専門医、医学博士。京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院、京都大学附属病院消化器内科勤務を経て、2013年大阪市北区中津にて小西統合医療内科を開院。2018年9月より医療法人全人会を設立。