有機酸尿検査とは
この検査は尿中に含まれる様々な代謝産物を測定する事で、身体の中のいろいろな化学反応が正常に働いているのかどうかを調べようと言うものです。 検査は、朝起きたときの尿を提出していただくことで行います。 尿中の有機酸を測定する事により腸管カンジダ症の診断、脳内ホルモンのバランス状態やミトコンドリア機能や身体のデトックス能力などを評価する事ができます。
有機酸尿検査で何がわかるのか?
尿中に排出される有機酸という化学物質を調べることで、体の中の状態を知ることができる検査です。有機酸尿検査で知ることができる内容は下記の通りです。
・カンジダ菌、アスペルギルス菌などの真菌が体内で増殖しているかどうか
・クロストリディア菌などの悪玉菌からの毒素が体内に出ているかどうか
・ミトコンドリア機能(エネルギー代謝)が正常に機能しているかどうか
・脳ホルモンのバランス
・解毒機能の評価
ここでは、カンジダ菌やアスペルギルス菌などの真菌についてと、ミトコンドリア機能について説明します。
真菌から排出される有機酸について
様々なストレスが原因で腸内環境が乱れると腸内の善玉菌が減少します。すると腸内の悪玉菌やカンジダ菌というカビの一種が増殖します。
腸管で増殖したカンジダ菌やアスペルギルス菌は「有機酸」という物質を体内に分泌させ、様々な体調不良の原因となります。
有機酸検査では尿を調べることで、これらの真菌が腸管内で増殖して毒素を出しているかどうかを調べることができます。(下図参照)
真菌から排出される毒素の検出
この有機酸検査では除菌治療を行なった後の効果判定を行うことができます。
治療前に排出されていた毒素(有機酸)が治療後には陰性化します。
ミトコンドリア機能について
この検査では、細胞内のミトコンドリアでエネルギー産生を正常に出来ているかを調べることが出来ます。
ミトコンドリアは、細胞内にある小器官で、栄養素を取り入れてエネルギーに変換する機能があります。ミトコンドリア機能が低下すると、細胞が本来の機能を十分に発揮できなくなるため、色々な体調不良が起こります。
下の図は、体に吸収された栄養素が細胞内のミトコンドリアに運ばれ、TCAサイクル、電子伝達系を経てエネルギーに変換されていることを簡略に図示したものです。
ミトコンドリア機能の評価
この経路のどこかに不具合が起こることで、エネルギー変換がうまくいかず、細胞の機能が低下し、さまざまな不調の原因になります。 有機酸検査では、尿中に排泄される有機酸代謝物を測定することで、ミトコンドリア機能が正常に機能しているかどうかを知ることができます。 下図において、サイクル中で代謝物が高値を示していることから、ミトコンドリアが正常に機能していないことがわかります。
有機酸尿検査で見たミトコンドリア機能
ミトコンドリア機能の低下に、カンジダ菌やアスペルギールス菌が関連している場合があります。
そのほかにも様々な環境汚染物質、重金属が体内に蓄積し、ミトコンドリア機能低下の原因となります。
検査の結果、カンジダ菌やアスペルギルス菌などの真菌から排出される有機酸が陽性の場合やミトコンドリア機能が低下している場合は、さまざまな不調や症状の原因になっている可能性があります。
当院では、これらの検査で全身の状態を評価した上で必要な治療をご提案します。