遅延型フードアレルギーとは
フードアレルギーは、食物アレルギーや食物過敏とも呼ばれ、主に食品(食べ物)を摂取した時に起こるアレルギー反応のことをいいます。
アレルギーは、身体にとって危険なものが外から入って来たときに、その物質をやっつけようとする身体の免疫反応のひとつです。
例えばカビ・アレルギーの人はカビに対して、花粉症の人は花粉に対して身体が反応し、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみなどの症状に変えて身体の外へ追い出そうとしてくれます。
アレルギー反応自体は、体外からの侵入者をやっつけてくれている、人体にとって重要な仕組みのひとつなのです。ただ、通常の場合には反応を起こさないような花粉や食べ物などに反応を起こすことで生活に支障が出てくるわけです。
遅延型フードアレルギーは「即時型」と「遅延型」がある
一般的にフードアレルギーというと、卵、大豆、牛乳、そば、えび・かになどを食べた時に出るじんましん、身体のかゆみ、呼吸困難などの症状が出ることを言うことが多いです。
このようにすぐに症状の出るアレルギーは、即時型アレルギー(1型アレルギー)と言われ、IgE抗体という免疫反応が関係しています。原因となる食物を食べてから症状の出るまでの時間が短いので原因がわかりやすいアレルギーです。
それに対して、食物を摂取後、数時間から数週間後に症状が出現する食物アレルギーがあります。
頭痛、めまい、うつ、などの精神神経症状、肩こり、慢性疲労など一見関係のないような多彩な症状を起こします。
このようなアレルギー反応は、遅延型アレルギー(3型アレルギー)と言われ、症状出現までの時間が長く、半日くらいから数日経ってから症状が現れることがあります。
また、その症状も多彩であることから、このような病態があることを知っていないと診断をすることが困難です。
近年、さまざまな健康障害にこの遅延型(潜在性)フードアレルギーの関与が指摘されています。
また、好んで食べている食物にこのタイプのアレルギーが多いとも言われています。好物だと思っていたものが、実は、健康を害する原因になっている可能性があります。
様々な種類の食物アレルギーに関連している(即時反応型のアレルギー)。
身体を機生物から守る働きをもつ。
同じ微生物による、2回目の体内の侵入時にB-リンパ球が作り出す抗体。
遅延型フードアレルギーと関連している。感染症に対する免疫システムの攻撃の後、長時間の抵抗力を付ける役目を果たす。
実は複雑な遅延型フードアレルギー
遅延型フードアレルギーの原因となる食品例として、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)、卵、豆類、ナッツ類、米、小麦、酵母(イースト、パンなど)などの食品があります。
遅延型フードアレルギーは症状がすぐにはでないため、正しく診断することが困難です。皮膚のかゆみや呼吸困難といった分かりやすい症状だけではなく、まさか食べ物が原因とは思えないような症状を引き起こすこともあるのです。
また「なんとなく毎日調子が悪い」といった慢性的な不調の原因になっている可能性もあります。
分かりやすい即時型のアレルギーとは違い、原因となる食べ物を見つけにくいため、自分が「遅延型フードアレルギー」であるということに気が付いていないことも多くあります。
思いもしなかった食品や好物の食品で遅延型フードアレルギーになっているケースも多く、気付かずアレルギー反応が出る食品を食べ続けている可能性も多くあります。
関連する症状
以下にあげた症状はすべて、遅延型フードアレルギーで起こる可能性があるものです。
・慢性疲労症候群
・起立性調節障害
・肌荒れや湿疹
・アトピー性皮膚炎
・腹痛や消化不良
・過敏性腸症候群
・イライラや集中力低下、メンタルの不調
・不妊
・むくみ
・体重増加
・冷え性
・肩こり
・めまい、しびれ
・頭痛、頭重感
・不眠
・筋肉、関節の痛み
・喘息
もしもあなたが、上にあげた症状があり、はっきりとした原因がわからないのであれば、食べ物に原因があるかも知れません。
遅延型フードアレルギーのチェックリスト
以下にあげた症状はすべて、遅延型フードアレルギーで起こる可能性があるものです。
次にあげた項目のうち3項目以上があてはまる場合は、「遅延型フードアレルギー」の可能性があります。
- 食事をした後に眠たくなる
- パンなど特定の食品を食べた後にお腹の調子が悪くなったり、気分が悪くなったりする
- 毎日便が出ない。排便時間が長い。
- 下痢をしやすい。未消化便がでる。
- 排便後すっきり感がない。
- 皮膚が荒れやすい。皮膚が乾燥しやすい。ニキビができやすい。アトピー性皮膚炎がある。
- アレルギー体質がある。(花粉症、アレルギー性鼻炎、喘息など)
- 朝が起きにくい。一日中体がだるい
- 集中力が低下する。頭に「もや」がかかったようになる
- 気持ちが落ち込みやすい
- 些細なことで不安になったりイライラしたりする
- 肩こり、腰痛、頭痛などがある。
- 生理が不順である。生理痛や生理前症候群がある。
- 原因不明の微熱がつづく
- 関節痛、筋肉痛が続く
- 朝すっきりと起きれない
- 寝つきが悪い。途中で目がさめる。
- 朝起きた時に熟睡感がない
- お腹が空いてくるとふらついたり、めまいが起こったりする
- 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病がある
通常は病院ではフードアレルギーが疑われる場合がIgE抗体が調べられますが、それではこの遅発型フードアレルギーは診断することが出来ないのです。
このような病態があることを正しく認識し、疑われる場合は「遅延型フードアレルギー検査」を行う必要があります。
フードアレルギーはどのようにして起こるのか
では、遅延型のフードアレルギーはどうして起こるのでしょうか。
フードアレルギーの原因には、腸内の環境が大きく関係しています。
私たちの腸の中には、100兆個もの腸内細菌が存在しています。そしてこれらの細菌たちはただ腸内にいるだけではなく、食べたものをきちんと消化・吸収させるためにとても重要なはたらきをしていることが分かってきました。
たんぱく質を例にとってみましょう。
食事に含まれるたんぱく質は、小腸にある「消化酵素」のはたらきで、ペプチドやアミノ酸というものに分解されます。
分解された腸内のたんぱく質やペプチドは、普通は腸の外に出ることはありません。
そして腸内細菌が正しくはたらくことで小腸の中の粘膜が「バリアー」の役割となり、腸から「不要なもの」が体の中に入ってこないようにしています。
ところが、何らかのストレスが原因で腸内細菌のバランスが崩れると、腸内環境が乱れてしまいます。
すると腸の粘膜と粘膜の間に穴が開き、「すきま」ができてしまいます。そして、その「すきま」から、たんぱく質やペプチドが血液中にもれていってしまうのです。このような状態を「腸管漏出症候群(リーキーガット)」と言います。
リーキーガットの状態では、十分に分解されていない物質が血液中に漏れてしまうため、身体が「異常事態」と判断してアレルギー反応を起こします。
つまり、アレルギー反応が起こること自体が問題なのではなくて、アレルギーを起こすような「異物」が体の中に漏れて入ってくることが問題なのです。これが「遅延型フードアレルギー」の原因です。
遅延型フードアレルギーを見ることでリーキーガット症候群の程度を知ることができます。
ただそういうと、リーキーガットでは食べ物だけが腸から漏れているように思うかもしれませんが、リーキーガット症候群を起こした腸は食べ物だけではなく、食べ物に含まれる添加物や合成保存料などの化学物質、環境汚染物質、重金属なども体に入りやすくなるのです。
これが、単に食物制限だけでは治らない理由です。
当院では、遅延型フードアレルギーの原因から根本的な治療を提案しています。
「食べないで不調な症状がなくなった」状態ではなく、「何を食べても元気で健康で入れる」状態になれるよう腸内環境を正常な状態にする治療です。
詳しくは下記から当院の治療についてご確認ください。
遅延型フードアレルギーは検査で分かる
即時性のフードアレルギーと違って、遅延型フードアレルギーの場合は原因となるアレルゲンを特定しにくいため、注意が必要です。
すぐに反応が出ないため、自分がアレルギーを持っていることにすら気が付かない場合も多くあります。
そのため原因のわからない慢性症状で悩んでいる場合は、遅延型フードアレルギーの検査が有効かもしれません。そしてアレルギーを起こしている原因食材を突き止め、3か月~6カ月の一定期間その食べ物を控えることで症状が改善することがあります。